アル中になるのは、ワインが好きだから?
お酒が好きじゃなかったら、アルコール依存症にはならないの?
何かに依存する人とそうでない人のちがいって、なんだろう?
もとは、そんなことを知りたくて、読みはじめた本でした。
『反省させると犯罪者になります』
著者:岡本茂樹
私の「アルコール教育」に関するオンラインセミナーに参加してくださった受講生さんが、おすすめしてくれた本です。
アルコール依存症について知るために読んでみたら、依存症だけでなく、子育てのヒントがたくさん書いてありました。
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この本は、こんな人におすすめです
✓自分もしくは周りの人が、お酒などに依存している
✓自分の子どもの問題行動が気になっている
✓自分の子どもが、生きづらさを抱えているようだ
✓自分の子どもにも孫にも、自殺してほしくないし、犯罪を犯してほしくない
受刑者(加害者)の心理を知る
この本の筆者は、刑務所での受刑者の更生支援に携わっていて、中学・高校・大学で教員をやっているときに、生活指導を担当していた経験を持つ、臨床教育学博士です。
どちらかといえば、犯罪を犯す人【加害者】の視点に立って書かれています。
もちろん、加害者の犯罪行為を肯定するものではないし、被害者の立場を否定するものではありません。
犯罪を犯す人たちが、どんな抑圧をもって、どういう怒りや悲しみを抱えているのかが、わかりやすく書かれています。
この本を読むと、受刑者の心の問題は、ふつうの生活をしている私たちの心の問題とも無縁でない、と気づかされます。
私のアルコール講座では、依存症を防ぐために、飲酒を始める年齢は遅い方が良いことをお伝えしていますが、必ずしも、スタートを遅らせれば依存症を防げるわけではない、ということも理解できました。
依存症の人からアルコールを取り上げたとしても、ほかのものに(ドラッグ、ギャンブル、性)に依存するでしょう。
幼少期の親との関わり
この本よると、問題行動や依存症の原因は、幼いころの親との関係性だそうです。
問題行動を起こす人は、しばしば心の病を抱えていて、それは幼少期の親子関係の中でさまざまな感情を抑圧してきたことによるそうです。
「父親が酒を飲んで家族に暴力をふるい、母親には養育を放棄された」という、極端な事例だけでなく、幼少期に親にひどいことを言われて傷ついた、思いを受け入れてくれなかった(否定された)という経験は、受刑者に限ったことではないと思います。
「かわいがられて育った」「裕福な家だった」「おとなしい」「まじめな」人が、ある日爆発してしまったというニュースを耳にすることがありますよね。
なぜこの人が?という答えが、この本には詰まっています。
そして、どんな声かけをしたら良いのか、過干渉や無関心とはちがったどんな関わりかたをしてあげると良いのか、ヒントを得ることができます。
非行は、大切なシグナル
子どもの問題行動はチャンスです
この言葉が心に響きました。
つまり、しんどさのシグナルを出しているということ。
問題行動を起こしたことを否定する前に、気持ちを吐き出させてあげるのが先、と筆者は言っています。
また、
「しっかりとした子ども」「一人でがんばること」「弱音をはかないこと」「人に迷惑をかけないこと」という価値観は、社会生活を送る上で大切ですが、生きづらさを与えることになるし、子どもを否定する(=子ども自身が自分を否定する=子どもが他者を否定する)ことになりかねるということも。
わが家の場合
私の長男(小6)は難しい年ごろに入ってきました。
もう自分の意思や価値観をしっかり持っています。でも、幼い部分ももちろんあって、筋が通らない主張をしてくることもあります。
今、学校の教育現場は、特別モードです。
発言や私語を許されていないし、理科の実験や家庭科の実習など子どもの興味をひく授業も、まだできないそうです。唯一の彼の楽しみである給食も、おかわりNGです。
完全に一方方向の学校生活に、うっぷんがたまっているようです。
そして、イライラのホコ先は、母親に向かってきます。
いや、そもそも、私がイライラの種をまいているのか?
この本で子どもとの接し方のヒントが得られたので、(難しそうだけど)今日から実践してみたいと思います。