白ワインの価値は、複雑味や香りの華やかさで決まるのか?【ブルゴーニュのシトリー・ブランを飲んでみた】

「シンプルなワインよりも、複雑で華やかなワインの方が価値があるんでしょう?」

「シンプルなワインの美味しさが、いまひとつつかめません。」

こういった疑問に答えます。

シンプルな白ワインとは?

 

この記事を書いている私は、ワイン業界での実務経験は、20年ほど。そして、飲むほうのワイン歴は23年。もう、数えきれないほど、様々なワインに出会ってきました。

多くのワイン愛好者と同じく、私もワイン初心者のうちは、パンチがきいたワインを好んで飲んでいましたが、いつしか、ピュアでシンプルなスタイルを求めるようになっていきました。

もちろん、トロピカルフルーツやバターのアロマをたっぷり感じさせてくれるような、豊満なワインを飲みたくなる時もあります。

でも、1日の終わりにリラックスしたい時、疲れたとき、ふだんの食事の時には、飾り気のないシンプルなワインが飲みたくなることが多いです。

ワインの初心者のうちは、「ワインは、濃ければ濃いほどおいしい!」と思う段階があります。人間の好みはそれぞれなので、それはそれで良いのですが、今回は、初心者が見逃しがちな「シンプルな味わいのワインが持つ魅力」をお伝えしたいと思います。

その前に、「シンプルなワインって、どんなワイン?」

と思われた方もいると思います。

私が定義するシンプルなワインは、
「香りや風味が弱めで、香りの要素が少ない」ワイン。

ざっくり言うと、アロマティックではないブドウ品種が使われていて、シュールリーや木樽での発酵や熟成を行っていないワインです。

アロマティックではないブドウ品種と言えば、シャルドネ、ミュスカデ、セミヨン、ピノグリなど。

シンプルなワインは、アロマティックなワインや複雑なワインと一緒にテイスティングをすると、それらの個性に圧倒されて、良さが埋もれてしまいがちです。比べて飲めば、香りの強いワインの方が印象に残りますからね。

そして、シンプルなだけで、魅力のないワインというのも、確かに存在します。

しかしながら、シンプルでそっけないのに美味しいワインというのも、確実に存在するんです。

シンプルで美味しい、ブルゴーニュ・シトリー・ブラン

 

シンプルでそっけないのに、とっても美味しいワインを飲んでみました。

ブルゴーニュ・シトリー・ブラン

香りは、控えめです。ライムやグレープフルーツ。ほんの少し、山査子(サンザシ)やハチミツのようなニュアンスも。

すっきりしていてピュアな味わいです。酸味がしっかりしていて、海のミネラルを連想させるうまみが広がります。控えめな余韻が長く続きます。

飾り気がないんですが、ノーメイクなのに地肌が健康的でつやつやしてる感じ(笑)

控えめながら芯をしっかりと持っているおりこうさんのようなワインです。

こういうスタイルのワインは、醸造段階では、人為的な介入は最低限にとどめられているので、ブドウの品質が如実に現れる(=ブドウのクオリティがばれてしまう!)という直球勝負のワインです。

「良いワインは、良いブドウから」が、まさに体現されているワインです。

「厚化粧」をしていないので、味わいの質にばらつきが出やすいタイプ。作り手(生産者)を選ぶことが、肝心です。

シンプルなワインの飲みかた

事前に、冷蔵庫で半日以上かけてしっかり冷やしておくと、美味しく召し上がれます。

こういったワインは、一見物足りなく感じることもあるかもしれませんが、お料理に寄り添ってくれるんです。

素材の旨味を活かしたシンプルなお料理との相性が抜群です。6月中旬の今だったら、そら豆やハモのてんぷらとか、岩ガキ、スズキやアイナメのお刺身と合わせたいです。刺激物と一緒に召し上がるのは避けてくださいね。

シンプルな白ワインの良さがわかるのは、ハイレベルな飲み手で、ワイン経験値の高い方が多いです。

シトリーのワインは、1993年にブルゴーニュのアペラシオンに仲間入りをした新参者。

あの有名なシャブリにスタイルがとてもよく似ています。それもそのはず、このシトリーのワインの産地は、シャブリからわずか10キロほどしか離れていません。土壌も、シャブリと同じくキンメリジャン。

ということは、長期で瓶熟したら数年後には豹変するということか(笑)
ますます目が離せない白ワインになりそうです。

今日は、シンプルな白ワインが秘めている価値や特徴についてお伝えしました。

飲んでみたいという方は、レストランや酒屋さんで、「シンプルでさわやかな飲み心地の白ワイン」をリクエストしてみてくださいね!

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