「ワインをあけたら、その日に飲まないといけないんですよね?」
よく聞かれる質問です。
答えは、YESでもあるしNOでもあります。
ケースバイケース。ワインによりけりです。
空気にふれさせて酸化させた方が美味しくなるか、否かが判断のポイントです。
大量生産のワインは、当日中に飲み切った方が良いワインが多いです。劣化することはあっても、風味が良くなることはないです。
長期熟成されたワインも、早めに飲んでしまうのをおすすめします。
デリケートな古酒は、空気にふれると酸化が一気に進み、香りや風味がとんでしまうのが速いからです。
一方で、あけた翌日や2日後の方が美味しい、なんてワインもあります。
生産者:カルペンティエーレ
ワイン名:コメ・ディンカント・ブラン・ド・ノワールNV
産地:イタリア プーリア州 カステル・デル・モンテ
ぶどう品種:ネロ・ディ・トロイア
黒ぶどうから作られている、辛口の白ワインです。
このワインがまさに、翌日の方が美味しいワインでした!
ワインサロンで提供した日も決して悪くはなかったのですが、香りがこもっていてちょっとイマイチだったんです。
でも、翌日になると、雰囲気ががらっと変わりました。やっと起きてくれたようです(笑)
甘~い白いお花の香りがまず全面に出てきて、白桃やアンズなどよく熟したストーンフルーツの香りも印象的でした。
パリのシャルルドゴール空港に降り立ったときに薫る香水の香りのような感じ。
味わいは辛口なんですけど、凝縮感があって、甘い風味を感じるフルーツの余韻が残りました。
お客様に提供したときは、もっとおとなしいワインだったんです。もっと早く起きてよ~!!と思いました。
こういった目覚めに時間のかかるワインは、グラスの中でワインを十分まわしてみてください。
または、デキャンタ―ジュをして空気にふれさせてあげると、目覚めてくれるのがはやくなります。
このワインのように、翌日の方が極端に美味しいワインはそう多くはないかもしれません。
でも、3,000円前後で買えるワインは、あけた後も数日間は美味しく飲めるものが多いです。
ワインバーやワインレストランでも、前日にあけたワインをグラスで出してくれるお店はたくさんあります。
言い方を変えれば、あけた当日じゃないと飲めないようなワインは、避けた方が良いでしょう。
品質の低いワインを一気に飲み切ってしまうのではなく、高品質なワインを、少しだけ、数日かけて楽しむ、というのが分別ある大人のワインの楽しみ方です。
あけたその日じゅうに、全部飲み切る必要は、決してないんです。
「今日中に最後まで飲んでね。」って、誰が言いました?
翌日も、その翌日も、美味しく飲めるワインを、時間をかけてゆっくり飲みましょう。
と言いつつ、美味しいと最後まで飲んじゃうから、そんなこと言ってられない(どうせ残らない)のが現実ですけどね・・・!