ワイナリーや輸入元のワインの情報を読んで、「あれ?」「そうかな?」と疑問に思うことがあります。
「このワインは、私にはフルボディに感じるけど、ミディアムって書いてある。」
「酸味は強めって書いてあるけど、私には酸味は強く感じないなぁ。」
「ワインの生産者が出している試飲コメントと、自分の感覚が異なっている。」
「私にはそう感じないけど、作り手さんが言ってるなら、そうに違いない。」
と、無理やり自分を納得させようとしまうこともあります。
でも、味覚は人それぞれ。
十人十色。
ちがって当たり前。
なぜなら、人の味覚は、とても主観的なものだからです。
酸やタンニン分などを数値化できたとしても、香りや味わいの感じ方は人それぞれ。その日の体調や天候に左右されることもあり、一般化できない部分もあります。
疲れているときは、甘いものがほしくなるでしょう。そんなときに飲むワインは、甘味を感じずらく、酸味や渋味の方に強く反応してしまいがちです。
他方で、ワインは刻々と変化していっています。
生産者のテイスティングコメントが書かれたタイミングでは、渋めのフルボディだったワインが、半年後に飲むと、なんともまろやかなミディアムボディに変化している!なんてことは、日常茶飯事です。
若いうちは、タンニン分という渋味成分を強く感じることが多いですが、時間の経過とともに、渋味はワインに融合されてまろやかになっていきます。若いうちほどは、渋味を感じなくなるものです。
ワインが熟成するにつれて、若いうちにはなかった複雑な香りが出現することは多いですし、その逆もまたしかりです。
香りについては、人によって、かぎわけることのできる要素とそうでない要素が異なるのです。
ピーマンの香りを敏感に感じる人とそうでない人。
イチゴの香りを敏感に感じる人とそうでない人。
嗅覚や舌にある味蕾(みらい)がものすごく敏感な人は、ありとあらゆる香りを感知することができるでしょう。それは、持って生まれた能力もあるし、幼少期に自然に触れた経験なども関連しています。
幼い頃に様々な香りをかいで育った人は、嗅覚が優れていることが多いですが、過去の経験がすべてとも言えません。
私自身は、嗅覚も味覚も鋭い方では決してないです。中(ちゅう)の下(げ)ぐらいですかね・・・。
それでも、ワインの仕事ができているのは、嗅覚や味覚は、経験や訓練によって、能力をある程度まで伸ばすことができるからです。
大事なことは、自分の感覚を人に押しつけないこと!
そして、他者の感覚(感想)をうのみにしないこと!
同じワインを一緒に飲んでいる人と、感想がちがう時があります。
感想も好みも、人とちがって良いんです。
自分と他者の感覚は、ちがうのです。
ちがう人間だから、感覚がちがうのは当然です。
ちがって、良いんです。
あなたの感覚がすべてです。
あなたの感覚を大事にしましょう。
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